小論文や日記の書き方シリーズです。
『安い、早い、うまい』は吉野家ですが、
『シンプル、わかりやすい、あほくさい』のが
暁塾の書き方です。
現在YouTubeで動画をアップ中です。

お題は学校の先生。
2年4組だった時を思い出して
こんな文章を書きました。

『ホニャララ先生の指先』
元2年4組 山本

興味が持てない授業では
専らヒマを持て余していた私ですが、
わかりやすいと評判に違わぬ
ホニャララ先生の時だけは
身を入れて聞いていました。

メガネは知的な印象を与え、
陽に焼けた肌は、逞しさと男らしさを、
そして、本場アメリカ仕込みの流暢な英語は
彼の甘いマスクと相俟って
まるで音楽を奏でているかのようで
聞き惚れてしまう女子生徒も多かったのです。

テストが近づいていたので、
その日は一言も聞き漏らすまいとする生徒も多く、
先生の声もいつもより一段と大きく、
熱を帯びていました。

そんな時のことです。
先生の一本の人差し指が、
鼻に吸い込まれていくではありませんか。

最前列にいる女子生徒は
この時ばかりは驚いたのでしょう。
声にならない声が、
教室の後方に座っている私にも届きました。
哀れなのは彼女です。
ホニャララ先生の授業が始まる前の休み時間には、
意味ありげに笑いながら、
「特等席に戻ろうっと」言い残し、
私を呆れさせたこともあったのです。
見たくもないものを見てしまった彼女には
かける言葉もありません。

さて、数秒のインターバルのあと、
右手は教卓の上にありました。
あまりにも華麗なる指捌き。

惜しむらくは それが人差し指だったことです。
もし足ならば、
ホニャララ先生は
世界トップクラスの
サッカー選手だと評されていたでしょう。

しかし、私を含めた生徒は
彼に対する畏敬の念など
一気に吹っ飛んでしまいました。

鼻ほじりの先生は、
右手で教科書のページを繰りました。
その教科書は 今まで何日、何十日、
いや何百日使われているのでしょうか。
今度はチョークに手が伸びました。
そして黒板消し、黒板。

そういえば、
最近提出したノートは今どんな状態なのだろう。
無事でいてくれるといいのだが。

そんな心配をしていると、
先生の私を叱る声が聞こえました。
いつの間にか、当てられていたようです。

しかし、私は先生の目を
見据えてから視線を落とし、
かの右手の指先を見つめました。

そうして「考え事をしていたんです」
ニヤリとしながら答えた後、
先生の声には力が入っていませんでした。